2019年02月07日

記憶の澱・10







「……………おい」



3本目のビールを飲んでソファでうとうとしていたイツキに、帰って来た黒川が声を掛ける。
イツキは薄く目を開け、辺りを伺い、夢とうつつの境目を探す。



「………マサヤ…?」
「…俺が出掛けてから、ずっとここで飲んでたのか?……馬鹿か」
「……ばかじゃないよ。……真面目に、……かんがえごと……」
「考え事ね。…くだらん悪巧みでも考えていたのか?……ふふ」



どうやらイツキは寝ぼけている様子。黒川は馬鹿にしたように軽く鼻で笑う。
自分も冷蔵庫からビールを取ると、ソファのイツキを少し脇に追いやる様にして、その横に座った。

缶を開け、煽る。

もう片方の手はイツキの頭に置かれ、暇つぶしのように髪の毛をくるくるとやる。







「………指輪はさ、………マサヤが、あげたやつだったの……?」
「………うん?」



突飛な質問に、黒川は、やはりイツキが寝ぼけているのだと思う。
けれど、見れば、イツキはいたって醒めた目で、黒川のことを見上げていた。



「……指輪?………何の話だ?」
「リョーコさんの、………赤い石がついたの…」
「……リョーコの?」







posted by 白黒ぼたん at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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