2019年02月13日

訳アリの子








好きだの嫌いだの愛しているだの、正直、よく解らなかったが
とりあえず、一緒にいて問題も無かったので、そうしていたのだけど。
そんな普通の日々が、急に、変わってしまうと、
驚きを通り越して、何も、感じられなくなってしまう。

ただ息をして、必要な食事と睡眠を取って、愛想笑いを浮かべ、生きているだけ。







都心から車で2,3時間の場所にある北関東の地方都市。
お世辞にも栄えているとは言えないが、まあ、必要最低限のものは揃う駅前商店街。
アーケードを抜けると、もう、住宅地と田園風景が広がる、のどかな町。
冬には積もるほどの雪も降るのだが、5月の今は、日差しも柔らかく過ごしやすい陽気。

平屋建てに納まるその会社は、美容雑貨などを扱う仕事をしていた。
道の駅などで売られる、ハンドメイドのクリームなどを取り次ぎ、都内のデパートに卸したり、手作り石鹸を開発してみたり。
事務所の半分は作業場になっていて、それら小口の商品に、自分たちでラベルを貼り、梱包し、あちらこちらに届けていた。

従業員は4人。
50代の気の良い社長と、その奥方。
40代のパートの主婦と、30手前の、少々騒がしい女の子。



そこに先週から、新しいバイトが働きに来ていた。






「……ね、ね、小森さん、……あの子と話し、しました?」
「しませんよ。……ミカちゃん、手、動かして」
「地元の子じゃないし、急にこんな所で働くなんて、おかしいですよね?……絶対、訳アリですよねぇ?」



ミカと呼ばれる女の子は新しいバイトが気になって仕方が無い様子で
伝票整理の合間に作業場を覗き込んでは、しきりに、主婦の小森に話しかけていた。







posted by 白黒ぼたん at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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