2019年02月19日

歓迎会・3








「……ごめんなさいね、イツキくん。ミカちゃん、悪い子じゃないんだけど、ちょっと、おしゃべりでね…」
「……いえ……」
「多分、嬉しいのよ。こんな会社でしょ、毎日、マンネリで詰まらなくて…。あなたが来てくれて、はしゃいじゃったのね」



少し飲み過ぎたとミカがトイレに立つと、奥方が済まなそうに、イツキにミカの非礼を詫びる。
60を過ぎた社長夫妻では、ミカの好奇心を抑えきれないのも仕方が無い。


「……大丈夫です、俺、別に、ぜんぜん。……話しかけてもらえて、嬉しいぐらいです」
「……あら…」



はにかみ、そんな可愛い事を言うイツキを、奥方も嬉しそうに見返す。
今時、こんなに素直な子供も珍しいと、逆に不思議で、少し不安になるほど。









一週間前に、突然、主人である社長が、少年を雇うと言い出したのだ。

知り合いの、ツテで、どうしても、断れず。

詳しい話は聞けなかったのだが、少年は、家庭環境に問題があるとか、どうとか…。
ともかく、今の居場所を離れ、遠くに行きたいのだと言う。



「……家庭に問題って…、親御さんと折り合いが悪いとか、……まさか、虐待?……可哀想にねぇ……。
まあ、何にせよ、しばらく、環境を変えるのも、必要よね…。
子供って言っても、もう大人だもの。
ちょうど、在庫置き場で借りているアパートの部屋も、空いているし。
一人で生活して、一人で生きて行けるようになれば、それも道、よねぇ…」



奥方はあれこれ想像し、一通り、納得し、イツキを受け入れた。
その解釈は、あながち、間違いではなかった。





posted by 白黒ぼたん at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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