2019年03月22日
林田さん・3
週末。
林田と交換したばかりの連絡先に、さっそく誘いのメールが入る。
「……ええっ、林田さんとイツキくん、いつの間にそんなに仲良しになっちゃったんですか? ずるい、ずるい、ミカも行きたいです!」
「駄目。今日は男子会なんだよな、なー?」
仕事あがりに迎えに来た林田にミカが一緒に行きたいとごねるも、それは断られ、
林田はイツキに、さわやかな笑顔を向けた。
「……今度、飲みに行こうって約束しただろ?」
「…はい。……でもこんなにすぐだなんて、…ちょっとビックリしました」
「はは。でもさ、実は、行こうと思ってた店は断られちゃって……。やっぱ最近、厳しくてさ……」
融通の利く知り合いの店は駄目になったと、林田はハンドルを握りながら言う。
イツキも、飲みに行くはずなのに車で来ているのは何故だろうと…思う。
幹線道路を少し走り、交差点を曲がって細い道に入り、さらに住宅街の中に入って行く。
こんな場所に何か店があるのかと、イツキはあたりをキョロキョロする。
やがて、空き地のような駐車場に、車は停まった。
「だから、宅飲み。これなら問題ナシでしょ。…あ、問題はあるか…はは」
着いた先は、林田の自宅だった。
さすがに、それは色々まずいだろうとイツキは思ったが、断る理由を言いあぐねているうちに、押し切られてしまう。
「遠慮することないよ、俺、一人だし。 明日は休みでしょ?…泊まったっていいし。 あー、着替えとか? そんなん、裏返しときゃいいよ、はは」
何も知らない林田はよりによってイツキに、酒とベッドを、提供してしまうのだった。
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