2019年04月03日

イツキ・1








早朝。
まだ寝ている林田を起こさないようにイツキは布団から抜け出し、とりあえず服を着て、部屋を出る。
うろ覚えの道を辿り、大きな通りに出て、そこでタクシーを捕まえ、自分のアパートに帰る。

まず、風呂。
小さなユニットバスの湯船に膝を抱えて入る。
頭から熱いシャワーを浴び、あちこちを泡だらけにし、全て洗い流した。



「………あー…。………やっちゃったなぁ……」



溜息とともに独り言がこぼれる。
うっかり、林田と、身体を交えてしまった。
勿論、するつもりは毛頭無かったのだけど…、……黒川と離れて一か月と少し。
……その間、自分で自分を慰めることはあっても、それで満足できるはずも無く……、そんな時に目の前に、酒と男を置かれては……

我慢しろというのは、無理な話。






風呂から上がり、新しい下着を身に着け、台所で水を一杯飲む。
後悔はあるものの、どこかスッキリとした気分なのは、ある程度、性欲を発散できた為か。
この先の生活や、黒川の事や……、あれこれ思い悩んでいた事が少し軽くなる。

自分でも単純だとは思うが、カラダは正直だった。



「………ま。……しちゃったものは仕方ないか…。……はは。………なんとか、なるかな……」





飲み終えた水のグラスを流しに置いて、もう一眠りしようと、布団の部屋に向かった。







posted by 白黒ぼたん at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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