2019年04月06日
イツキ・4
林田はともかく、
イツキにとって、あの一夜のことは、大した問題では無かった。
酒に酔った上でのコトだし、…恋愛対象という訳でもない。
そもそも、まっとうな倫理観など持ち合わせていない。
仕事の帰り。スーパーマーケットの閉店時間にギリギリ間に合い、値引きの総菜をいくつか買う。
向こうに見える大きな建物が、ミカが今度一緒に行こうと誘った日帰り温泉施設なのかな…と、イツキはのんびり歩きながら思う。
街は駅前こそ栄えているが、通りを抜けると寂しいもので、街灯の明かりもまばらだ。
夜の住宅街は静かで、時折どこかの家から、子供の笑い声が聞こえてくる。
「……なんか、俺。……普通の人みたい……」
アパートに戻り、台所に立ち、買って来た総菜を温め直す。
朝、タイマーをセットしていた炊飯器が、湯気を立てる。
テレビの前のテーブルに食事を運ぶ。ここには今度、小さなソファを置こうと思う。
もしかして、部屋全体を自分の好きにしてもいいのかと思うと…、少し、楽しみだった。
「……ソファって…どこに売ってるんだろう。……それも、マサヤに送って貰おうかな…。……棚も、ベッドも。……もう、本気で引っ越す……、……ふふ」
あれこれ一人、つぶやきながら、部屋の模様替えを考える。そんな折、玄関のチャイムが鳴る。
……黒川に頼んでいた荷物がもう届いたのかと、イツキは立ち上がる。
「………あ」
ドアを開けた先に立っていたのは、宅配便の業者では無かった。
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そうですよね。今までが大変だったもの。
黒川との生活に戻れば、また元どおり…?
いっちゃんに普通の生活は無理だろうな〜
ピンポンは林田さんかな?
黒川、邪魔すんなよー笑