2019年04月18日

黒川・3










『……マサヤ?……どうしたの?』
「…いや、別に。……電話しただけだ…」
『あ、この間の塩豆大福、ありがとう。…おもち、柔らかかった』
「……そうか」



そんな他愛もない電話。
スマホを耳にべったりと当て、少ない言葉の、合間の空気を、読む。



『マサヤ、ご飯、食べた?』
「…いや。……昼過ぎに事務所で一ノ宮と出前を取ったきりだな…」
『ちゃんと食べなきゃダメだよ。俺、最近、自分でご飯、炊いてるよ』
「…ふん」



馬鹿馬鹿しいと言った風に鼻で笑う。
変わらないその仕草が、目に浮かぶ。



『……今度さ、…武松寿司の厚焼き玉子、持って来て』
「わざわざ届けろと?…俺は宅配業者かよ」
『……ん。……今度、何かのついででいいからさ……』
「……そのうちな…」




そう話して、電話は切れた。






posted by 白黒ぼたん at 23:28| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
甘い、甘過ぎる〜〜
2人とも 心も身体も呼び合ってるんやろなぁ
Posted by ぷぷ at 2019年04月19日 02:39
たわいのない電話の会話もこの2人にとっては心を繋ぐために重要なのでしょうね。
寂しい、会いたい!って気持ちが伝わってきて、悲しくなります…
早く一緒に暮らせるといいなぁ
Posted by はるりん at 2019年04月19日 07:45
ぷぷさま
本当は今すぐ、会いたいんでしょうねー。
素直になれば良いんですけどねー。


はるりんさま
また元の生活に戻るのはいつでしょう。
その時には、またちょっと違った感じになるんでしょうね。
Posted by ぼたん at 2019年04月19日 23:32
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