2019年04月30日

小森さん・1








イツキは、その日も普通に仕事をしていた。
相変わらず単純な手作業だったが、何も考えずに集中出来る事が、意外と苦にならないようだった。
隣りでパソコンを操作しているミカは、商品のパッケージのデザインなどもしているらしい。色やサイズを確認し、あれこれ資料を開いていた。
少し離れた机で伝票整理をしていた小森が、席を立つ。バタンと扉を開け、どこかに行ってしまった。



「………ああ、もう、無理。……今日の小森さん、変!」
「…え?……そう?」
「…なんかずっとピリピリしてるの。イツキくん、気付かなかった?」
「俺、そういうのは、あんまり……」



ミカによれば今日の小森は機嫌が悪いらしく、朝から無駄話も一切無く、ミカに山のような仕事を回して来たのだと言う。
普段から愛想の良いタイプではないが、今日は特に酷いのだと。



「……ダンナさんと、喧嘩でもしたのかなぁ…」
「小森さんって、ご結婚されてるんですね」
「うん。お子さんもいるよ、3歳の女の子。前にバーベキューで一緒に……」



話の途中で小森が部屋に戻って来た。
おしゃべりをしていたミカをギロリと睨み、自分の仕事に戻って行った。






小森は夕べの電話を思い出す。

『………会えないの?』
『…会いませんよ。…俺たち、もう、そんなんじゃ無いでしょう?』
『今、どこ?……あたし、車で……』
『もう駅です。俺、今日中に東京、戻るんで……』

確かに今はそんな関係ではなくとも、嫌いで別れた訳ではない。二人で会って話しぐらいはしたかった。




小森は今でもミツオに、気持ちを残していた。





posted by 白黒ぼたん at 22:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
えっ小森さんと、ミツオ??
びっくり〜(・_・;
Posted by はるりん at 2019年05月01日 06:08
実は小森さん、ちょっと面倒臭い女です。
こっから、泥沼ですよ。
Posted by ぼたん at 2019年05月07日 23:19
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