2019年05月11日

林田、驚く・3







車を少し走らせると、そこそこ大きな都市に出る。
もちろん、イツキが暮らしていた場所に比べれば寂しいものだったが、それでも駅前にはビルが建ち並び、一番の繁華街といった所だった。
駐車場に入れた車は後で、別の人が取りに来るのだと言う。林田とイツキは少し歩いて、とあるビルの中の日本料理屋へ入って行った。

予約の名を告げ、奥の座敷に通される。
林田はやや緊張した様子。イツキと目があると、強張ったような笑みを浮かべる。

「……ハハ。……こういう席は、俺もちょっと…苦手で。ああ、でも大丈夫。俺がちゃんと回すから」

そう言って、気合を入れる様に、自分のネクタイの結び目をきゅっと締め直すのだった。











「お世話になっております、中野井部長。今日はご足労いただきありがとうございます」
「ああ、いや、林田くん、そんなにかしこまらないでよ、はは…」

やがて、取引先の部長が部屋にやってくる。歳は40半ばといったところ。
やや小太りのメタボ体形。どっこらしょと、向かいの座椅子に腰を下ろす。

「…で、こっちの子がハーバルさん?……ずい分とまあ、若いの、連れて来たねぇ…」
「あっ、…えっと、実はですね、本日、社長が……」

林田がイツキを紹介しようと、隣のイツキを見遣る。
イツキは、ぺこりと可愛く頭を下げる。


「今日は代理でお邪魔させて頂きました。オカベイツキと言います。よろしくお願いいたします」


そう言って、穏やかににこやかに…いつもの営業用の綺麗な笑みを浮かべる。

林田は一瞬仕事を忘れ、口を半分開けたまま、イツキに見惚れてしまうのだった。






posted by 白黒ぼたん at 00:04| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
いっちゃんたら、もう色気を振りまいて、周りを巻き込み始めたわ!
なんて恐ろしい子…w
Posted by はるりん at 2019年05月11日 11:27
しかも無自覚。無計画。
タチが悪いったらありゃしない〜
Posted by ぼたん at 2019年05月11日 21:30
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/185981510
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
最近のコメント
林田と松田 by はるりん (10/19)
余計な揉め事 by ぼたん (10/18)
余計な揉め事 by はるりん (10/18)
甘い欲求 by ぼたん (10/17)
足りないイツキ by ぼたん (10/17)
甘い欲求 by はるりん (10/16)
足りないイツキ by はるりん (10/15)
誘惑・5 by ぼたん (10/13)
誘惑・5 by A (10/12)
誘惑・5 by はるりん (10/12)