2019年05月11日

林田、驚く・4








「ええ、社長、ギックリ腰やっちゃったの?……あれはねー、無理だよねー。ワタシも経験あるから解るよ、もう、踏ん張ろうにも力が入らないんだよねー」



懐石コースの前菜の小鉢が運ばれ、和やかに宴席は始まる。
細かな仕事の内容などはすでに話が付いているらしく、今日はより親睦を深めるといったところ。
部長はハーバルの社長を気遣い、自分が先日ゴルフコンペの最中に腰をやってしまった事を、面白おかしく話す。


「…で、今日はイツキくんにお鉢が回って来たんだ? …なに?まだ新人さんでしょ? 仕事はどう? 楽しい?」


新人もなにも入ってまだ数週間の、右も左も解らない状態。
あまり仕事の話を振られボロが出てはまずかろうと、林田は気を揉み、あたふたする。
丁度、仲居が次の料理と、一緒に地酒の一升瓶を持ってくる。この部長は、かなりの酒豪で有名だった。



「お、キタキタ。ここはこれが楽しみでね…」



並んだ三つのグラスに酒を注ぎ、まずは部長が口を付ける。
そして、キミらもやりなさいという風に、林田をイツキにグラスを向ける。

林田は…イツキは未成年だからと、断ろうとしたのだが…、イツキは横目で林田を制し、大丈夫だからと小さく笑う。
「いただきます」と言い、そっとグラスに唇を寄せ、

一気に飲み干す。

本当に美味しい酒だったようで、感嘆の吐息と艶気を洩らす。



「…あ、…美味しいです…。……えっと、仕事は…まだ始めたばかりなんです。でも、好きです。ハーバルさんのクリームって本当に手に馴染んで、優しい香りがして…。本当にいい商品なんだなって思います」




イツキの飲みっぷりに部長は思わず林田を見る。林田は、…驚いた顔でイツキを見ていた。
「あっはっは、いいねぇ、商売っ気もある。気に入った。さ、飲みなさい、飲みなさい」
部長はイツキを気に入ったようで、豪快に笑い、イツキに、次の酒を注ぐのだった。






posted by 白黒ぼたん at 21:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
いっちゃん、お酒飲んじゃった(・_・;
これはお誘いの雰囲気プンプンになる予感しかないですね…
周りのおじさん達が群がっちゃうよー
Posted by はるりん at 2019年05月12日 06:35
いっちゃんにその気がなくても
そうなっちゃいますよねー笑笑
Posted by ぼたん at 2019年05月13日 22:04
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