2019年05月16日
林田・最終話
駅まで行ってみたものの、もう、帰りの電車は無く
仕方なく、タクシーに乗り込む。
疲れているのか、酔っているのか二人とも無口で
それでも、林田は、隣に座るイツキをチラチラと眺める。
今日は、驚く事ばかりだった。
酒が強くて話し上手で、付き合っているのが…男性で。
ああ、先日の出来事だって、どう考えたって、オカシイ。……普通、男同士はうっかりセックスをするものではないのだ。
こんな田舎町にふらりと働きに来た少年は、実は何者なのだろうかと、林田はまじまじとイツキを見つめる。
そして、ついでに…イツキが着ている黒いスーツが、林田でも名前を知っている高級ブランドだと解り…さらに驚くのだった。
「………林田さん」
「…えっ、……なに?……何?」
「…着きましたよ」
言われて初めて、もうタクシーが目的地に到着したことに気付く。
最初は、イツキのアパートの前。
自動でドアが開くと、イツキは頭を下げ、「……じゃ、おやすみなさい」などと言う。
「……えっ…、あっ……、………ああ、…おやすみ…」
林田がそう言う。
イツキはドアに手を掛けたまま、少し、不機嫌そうな顔をして
車から降りたのだった。
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