2019年05月18日
余波・1
翌日明け方、ドアのベルが鳴る。
こんな時間に来客などあるはずもなく、イツキは十分警戒し、ドアの内側から様子を探る。
「………イツキちゃん。………俺…」
「……えっっ」
チェーンを外し、ドアノブの鍵を回し、扉を開けると、外に立っていたのは…ミツオだった。
驚く間もなく、ミツオはイツキを抱き締める。
「……ミツオさん、……どうして…?」
玄関先で抱き合ったままというのも何なので、とりあえず、中に入り、ドアを閉める。
閉めると、ミツオはイツキを壁に押し付け、頬に手をやり、顔をまじまじと見る。
「……イツキちゃん、……心配、掛け過ぎだよ…」
「……え?」
「……昨夜の電話。……接待飲み、なんて…イツキちゃんが行く必要、無いんだよ」
昨夜は、接待だったと。取引先の部長と飲み過ぎて疲れた…と、イツキは話して、電話は切れた。
つい先日、気持ちを残したままで別れ、それ以来ずっとイツキの事を気にしていたミツオは居ても経ってもいられず、イツキに会いに来てしまったと言うのだ。
当然、電車も無い時間。飛び乗ったタクシーには、一体、いくら支払いをしたのか。
ミツオはイツキを見つめ、唇を合わせ、さらにきつく抱き締める。
黒川にも、これぐらいの熱っぽさがあればいいのに…と、イツキは、……ミツオの腕の中で思った。
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いっちゃんのこと好きで心配なんですね
優しい人だから、本当はこっちを好きになれば楽なんだけどね…
それはそれで、また、大騒動が起こりますよ!
黒川が、暴れるぞーww