2019年05月22日

余波・4







「……一緒に来ること、ないのに…」
「……一緒に行っちゃ、駄目なんですかー?」



仕事が終わり、林田は助手席にミカを乗せて、イツキのアパートへ向かう。
ミカは別段イツキに用事も無いだろうが、来るなとキッパリ断る理由も無い。


「……なんかー、最近、林田さん、イツキくんばっかり気にしてませんかー?……前はよく、ご飯、食べに行ってたのに、…最近は誘ってくれないじゃないですかー?」
「……そう?……って言うか、ご飯だって、そんなに行ってないでしょ」
「じゃあ、誘って下さいよー」


巻いた毛先をくるくると回しながら、ミカが、甘えた口調でそう言う。

ミカは、林田を好きだったが、林田は知ってか知らずか、はぐらかしてばかり。
もっとも今はイツキの事が気になって、それどころではない。


「………あたし、今度、イツキくんと、日帰り温泉、行くんです…」
「えっ、……じゃあ、それ、一緒に行こうかな……」
「………ふぅん…」


何だか自分がイツキのオマケの様な気がして、ミカは面白くない。
唇を尖らせて、そっぽを向いて、新しく塗ったネイルを眺めている内に、車はイツキのアパート前に到着した。







「……ミカちゃん、ここにいなよ。イツキくん、具合、悪いんだったら、アレだしさ。
……ちょっと、様子、見て来るだけだから……」


ミカを残し、林田だけ車から降りようとする。
イツキの部屋は二階の奥。指さし、視線を向けると、丁度、扉が開くのが見えた。






posted by 白黒ぼたん at 22:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
ミカさん、林田さんの事、好きなのですね
林田さんはいっちゃんの事ばかり気にしてるし、報われないわ〜

いっちゃんのとこに行って、現場をバッチリ見られちゃうと思ったから、セーフでしたか…?
Posted by はるりん at 2019年05月23日 09:18
元気なミカちゃんは林田さんより若干年上。
さて、どー出ますかねー笑
Posted by ぼたん at 2019年05月26日 15:06
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