2019年06月02日

週末








イツキは黒川に電話をする。
本当は、朝に一度、昼に二度、電話をしようと思ったのだが…自分から連絡を入れるのはどこか、シャクで…、手を止めていた。



「……マサヤ」
『………なんだ』
「…週末、こっちに来たり…する?」
『……いや。……忙しい』



黒川は本当に仕事が忙しいらしい。
西崎組で起きた揉め事を収めるために、あちこちに顔を出し、部屋に戻って来たのは夜が明けてからだった。


勿論、詳しい事情をイツキは知らない。
黒川は、話す気もない。




『……なんだ?』
「……ん。……会社の人たちに、…ご飯、誘われたんだけど。……マサヤ来るなら、止めようかなって……」
『……今週は無理だな。……そのうち、……また連絡する』
「………はぁい、……じゃあね」


そうして電話は切れ、イツキは軽く鼻息を鳴らして、ケータイをソファに放り投げた。








気を取り直して、イツキは出掛ける支度をする。
黒川には「ご飯」と言ったものの、それは厳密には違って。
行き先は、以前からミカに誘われていた、スーパー銭湯だった。

黒川に会えない週末は、少し寂しかったが、それでも
岩盤浴まであるというスーパー銭湯に、イツキの心は奪われていた。






posted by 白黒ぼたん at 21:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
スーパー銭湯を楽しみにしているいっちゃん、かわいいですねハート
いっちゃんの年齢だったら当然経験している事や、今までできなかった事や知らなかった事、楽しい事をたくさん経験させてあげたいです
だって黒川のとこに戻ったら、またあの生活ですよね…?
Posted by はるりん at 2019年06月03日 21:45
意外とここの生活、楽しいと思います。
もう、戻りたくなくなるかもー笑
Posted by ぼたん at 2019年06月04日 00:06
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