2019年06月04日
極楽の夜・1
大きめニットの甚平と言った感じの館内着を来て、イツキはミカの待つ岩盤浴コーナーに向かう。
イツキは、岩盤浴というものは初めてだったが、要は熱い石の上に寝て汗を掻くものらしい。
「イヤ、ただの汗じゃないのよ。もっと身体の芯から掻くような感じで…逆に超、サッパリするんだから」
言われるがまま、最初は温度の低い、初心者向けの部屋に入る。
温かい床の上にタオルを敷いて寝転ぶと、確かに、じんわりと汗が出て身体の奥が融けて行くようだ。
「………あ、………気持ちいいね…」
「ねー。うつ伏せ寝もいいよ。お腹、あったまるよ」
少し薄暗い部屋。隅の方には暖炉の様なものがあり、時折そこから良い香りの湯気があがる。
男同士、ハダカを晒す風呂も、男女一緒の岩盤浴も、……どうしたものかとちょっと不安はあったけれど、杞憂に終わる。
疲れや緊張がほぐれて行くのが解る。うっかり、「ごくらく、ごくらく」と言ってしまいそうになる。
けれど、次に入った「ロウリュウ」の部屋は、様子がまったく違った。
温かい、と言うか、すでに熱い部屋。ベンチに座るだけで、もう、汗が噴き出してくる。真ん中の大きな桶に溶岩のような石が積まれていて、法被姿の店員が、そこに勢いよく水を掛ける。
当然、大量の蒸気と熱気が上がる。
「さあ、みなさん、行きますよ!大きな声でご一緒に。それ、ワッショイワッショイ!」
店員は大うちわを持ち、威勢の良い掛け声とともに、客に、熱風を浴びせ掛けるのだった。
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みんなで掛け声とか、いっちゃん絶対苦手でしょ ww
うん。いっちゃん、苦手です。