2019年06月07日
極楽の夜・3
「イツキくんってさ、どんな人と付き合ってるの?」
「………え?」
「……あたし、……知ってる。……この間、林田さんと……」
そこまで話して丁度良く、ミカは言葉をはぐらかし、意味深に笑う。
ミカは、先日林田と目撃したイツキとミツオの場面で、イツキがミツオと付き合っているのだと思い込み、
イツキは、林田に話した『自分が付き合っているのは男』という情報が、ミカに伝わってしまったのだと思う。
風呂上がり、中ジョッキ3杯でほどよく出来上がった二人には、互いの勘違いに気付く余地はない。
「……ええと。……付き合っている…、という感じでも……ないんだけど……」
「またまたー。だって、わざわざ会いに来てくれちゃったりするんでしょ?……あ、あたし、そういうの、大丈夫だから!……ボーイズラブって言うの?……ふふ」
ジョッキを軽々と煽りながら、ミカは、何でもお姉さんに話してみなさいという風に、イツキをそそのかす。
イツキもこんな場所で気が緩んでいるのか……ただ酒に酔っただけなのか……、まあ、あまり詳しく話さなければ良いだろうと……、口を開く。
「怖い人ですよ。俺のことなんて、ゴミかペットかそれ以下かってくらいの扱いで…、ああ、今は多分、そんな事も無いと…思うけど…。前は酷くて……。
でも、少し距離を取る様になって、……少し、優しくなったかな。……ちょっとだけ……」
懐かしくも切なく、愛しく、黒川の事を思い出し…言葉を選ぶイツキを
ミカは驚いた様子で目を丸くし、「……へー…、……そうなんだ…」と答えるだけだった。
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主語がないとミツオにペット以下に扱われてると思われちゃいますよ!
「えっ?あの男、あんなに物腰柔らかくて、いい男なのに鬼畜〜!」って ww
まぁお互い酔っ払ってるから仕方ないか
話が通じる酔っ払い…笑