2019年06月20日
夢で逢いましょう
目を覚ましたイツキは、一瞬、自分がどこにいるのか解らなかった。
それでも見慣れた天井、見慣れた部屋。隣には、見慣れた男がいた。
「…………マサヤ?」
小さな声で、黒川は目を開け、イツキを見てニコリと笑う。
手を伸ばすとまるでそれが世界の決め事のように、イツキは、その手の中に納まる。
「………あ、……これ、……夢?」
「……どうして、そう思う?」
「だって、俺、今ここにいないはずだもん。……それに…」
「…それに?」
腕の中で、イツキは黒川を見上げる。
黒川はイツキの髪を掻き上げ、そのまま頬に手をやり、イツキの額にキスをする。
「………マサヤが、……優し過ぎる……」
「はは。……優しい俺は、夢、かよ」
「…それでもいいや。俺、マサヤに会いたかったんだ。…夢でも…」
夢にしてはリアルな人肌。イツキは黒川の背中に腕を回し、ぎゅっと力を込める。
黒川は、もう一度イツキの額にキスをすると、「…俺も、会いたかった、お前に」などと言う。
本当の黒川が、こんな事を言う筈はない。やっぱりこれは夢なのだ。
それでも、黒川に会いたい自分の気持や、自分に会いたい黒川の気持は、多分、本当のものなのだろうと……思った。
目を覚ましてイツキは、小さく溜息を付く。
目の前で呑気に寝息を立てる林田を見て、何をどう間違えたらこんな事になるのかと、考えていた。
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たまにはいっちゃんを蕩けさせていましたよね〜ww
黒川の天邪鬼な所を理解しないとダメね
ひどいけど、確実にいっちゃんの事は愛してるんだから!
林田隣で寝てるの…?あれ?
夢だか何だか、よく解んなくなりました笑
いっちゃんは色々、やらかしている模様です。