2019年06月22日
イツキと林田
「ごめんなさい。無かった事にして下さい」
「…………あ、………うん」
スーパー銭湯からの帰り。車で送ってくれた林田を、イツキは部屋に引き込んだ。
突然現れた、黒川と同業の男に無駄に身体を触られ、弄られ、その気にさせられ……、……寸での所で終いになって、……それで収まるイツキでは無かった。
男とは、シては駄目で、林田となら良いというのは…、一体どんな線引きなのか、イツキ自身にもよく解らないのだけど。
それでも、終わった後に、酷い後悔の念がイツキを襲う。
軽すぎる。
こんな時のセックスは、ただ性欲を発散するための、何の意味も持たないものだけど、
その相手に林田を選ぶのは、あまりに安易過ぎるし、何より、失礼過ぎだと…それぐらいは解っていた。
一方、林田は、風呂上りの赤い顔のイツキを車の助手席に乗せ、何か変な期待をしていないかと言えば、嘘だった。
家に着き、部屋に上がってと言われ、「……なんか、のぼせちゃったみたい……」と、石鹸の匂いのする身体を摺り寄せられては…、…する事は一つだった。
イツキに彼氏がいる事は知っている。けれど今は離れ離れの、訳アリらしい。
それなら自分が…、彼氏ポジションに付くことも…、あるかも知れない、それもイイかも知れない…いや、どうなのか…アリなのか……ナシなのか…、……なんなのか…。
グルグルと頭の中を、取り留めも無い考えが回る。腕の中、寝息を立てるイツキがぎゅっと抱き付いて来て…、……林田は覚悟を決める。
けれど、目を覚ましたイツキが言った言葉は
あまりに素っ気なく、身も蓋も無い、つっけんどんなものだった。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/186176391
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/186176391
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
いっちゃんは、発散しただけ…
早く忘れた方がいいと思います。
火傷じゃ済まないよー