2019年06月28日

来客







黒川の事務所に来客があった。
生憎、一ノ宮は出ており、黒川が一人。
扉を開けてやる義理も無かったのだが、外で騒がれても面倒なので、渋々、開ける。

立っていたのは、あの、池袋の、笠原だった。




「……ドウモ。おや、一人でお留守番ですか?黒川さん」
「あんたこそ。連れも伴わず油でも売りに来たのか?暇人だな」


笠原は一歩、室内に入り、ぐるりと中を見回す。
狭い事務所は、2秒もあれば、その大体が解る。


「……しょっぱい事務所ですね。金に困っているなら、融通しましょうか?」
「余計なお世話だ。……何の用だよ」


一応、同業。多少縁のある組の、若頭補佐。
一ノ宮がいれば普通に挨拶をし、茶の一つでも淹れるところだが、黒川にそんな気はない。
ましてや、最近は、言わずもがな機嫌が悪い。しかも、「笠原」と来れば、良い話の筈もない。
ふん、と鼻息を鳴らし、煙草に火を付ける。威嚇のための凶器がある引き出しに、手を伸ばせば届く距離。




「……いえ、ね。少々、仕事の手を広げましてね。ここいらにも顔を出すかも知れない…、黒川さんにもご挨拶をと思いまして。

新しく、傘下に入れた組もあるんですよ、……光州会とか」


その名前に黒川は、ちらりと視線を寄越す。
笠原は、ニヤリと笑う。


「……聞けば、光州会とは、…関りがあるようですねぇ。……おや、そう言えば今日、イツキくんは?」
「白々しい。あいつは、いないぜ。…光州も、もう、ウチとは関係ない」
「はは。まあ、今すぐどうこうという話じゃありませんよ。……今日はちょっと、ご挨拶に寄っただけです」





そして、笠原は礼儀正しく頭を下げ、事務所を後にするのだった。






posted by 白黒ぼたん at 21:09| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
笠原さん、久しぶりの登場ですね
なんだか意味深な感じで去って行きましたが
また一波乱ありそうですね…
不穏…
Posted by はるりん at 2019年06月29日 13:27
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