2019年07月03日

金時豆








最近のハーバルは、少し、居心地が悪い。
一番の原因は、半月後に迫った展示会の準備で、作業量が膨れ上がった事だったが
それ以外にも…

林田との仲が進展しないことに、ミカが溜息をついたり、
気付くと、小森が険しい顔でイツキを睨んでいたり…

もっともイツキも、自分自身の今後の身の振り方に悩んでいて、女子二人に構っている余裕は無かった。






仕事場の裏手に、ベンチが置かれた、ちょっとした空き地がある。
ここ数日は天気も良く、昼にはイツキは一人、そこで仕出し弁当を食べていた。
タルタルソースの乗った白身魚のフライを口に入れ、ストロー付きの紙パックのお茶を飲み
傍らでパラパラ、地域の情報誌などを読む。

ハーバルの商品が置かれている道の駅で配られていたもので、記事は、近場のお勧めスポットや、地元の優良企業の紹介などなど。



「………未経験者歓迎…、高卒…、個室寮完備……、ふーん。……俺、働くの、ココじゃなくても……、いいのかも。帰って来るなってマサヤが言うなら、もう、いっそ、ずっと遠くに行っちゃう……、とか……」


そんな事を呟き、軽く、一人で生きている自分の想像をしてみるも…、あまり良いイメージは沸かない。

どこに行ってみても、結局、……黒川の事を考え、……酒で誤魔化した挙句、別の男に抱かれてばかり……、になってしまう気がする。




最後に残していた甘い金時豆を口に入れて、さて、どうしたものかと、イツキは大きく肩で息をする。

丁度その時、仕事場の正面に林田の社用車が停まるのが見えて、イツキはさらに大きなため息をつくのだった。






posted by 白黒ぼたん at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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