2019年07月05日

内緒話








頃は20時。
普通であれば仕事を終え、家に戻り、夕食だなんだを済ませ、落ち着く頃。

一ノ宮の電話は何度目かの呼び出しの後、イツキに繋がる。




「………もしもし、イツキくん?」




本当に電話をしたのかと、黒川はギョッとした顔で一ノ宮を見る。




「…………ご無沙汰しています、いえ、どうしているのかなと気になりまして…。大丈夫ですか?……今はお時間………え?……ああ、そうなんですか?………ふぅん……」




黒川は、我関さずと言った風に他所を向き、煙草に火を付ける。
けれど、耳、だけはしっかり、一ノ宮の方を向く。




「………社長ですか?……ええ、横にいますよ。………ははは、内緒にしますよ、ええ。

………イツキくんも気を付けて…、……飲み過ぎちゃ、駄目ですよ?………では、また……」





通話は短く、2、3分で終わってしまった。
イツキはどうやら出先のようで、一ノ宮と話したいのを泣く泣く諦め、電話を切った様子。

一ノ宮はしばらく、手の中のケータイを眺め、その先にいたイツキの事を考える。

相変わらず、トラブルに巻き込まれていなければ良いなと……、……心底、心配する。






「……なんだ?……何か、言っていたのか?」


ただ煙草を吸っていただけの黒川が、横から口を出す。
どこぞで酒を飲んでいるのか「飲み過ぎ」という言葉が引っ掛かる。




一ノ宮は黒川をチラリと見遣り、小さく溜息を付く。


「……さあ。あなたには、内緒、と言われましたので」


そう言って、ケータイをスーツの内ポケットに仕舞い、お先に、と、事務所を出て行ってしまうのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
黒川には内緒…
黒川、この際、いっちゃんに直接聞きに行ったらどうでしょうか?
Posted by はるりん at 2019年07月06日 14:00
直接聞きに行って、勝手に遊ぶな!って怒って、
連れて帰ればいいのにねー
Posted by ぼたん at 2019年07月08日 22:01
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