2019年07月09日

二軒目







ポケットに入れていたケータイがブルブルと震え、何かの着信があった事は解ったが
その時、イツキは電話に出る事は出来なかった。

二軒目は小さなスナックで、イツキは赤いビロードのソファに中野井部長と並んで座り、もう一人の男が歌う昭和の懐メロに、タンバリンを鳴らしている最中だった。

飲み会のメンバーは4人。部長とその同僚。林田とイツキ。
同僚の男も、…そちらの趣味があるようで、…前もって中野井から『カワイイ男の子がいる』と聞いていたらしい。
小さなステージでカラオケを熱唱すると、意気揚々と、イツキの隣りに戻って来た。


「……んー、ソファ、狭いなぁ。はは、詰めて、詰めて」


勿論、解っていて狭い席に座っている。
イツキは、部長と同僚の男に挟まれ、肩を窄めて、困ったように微笑む。
部長はすぐにイツキに新しい水割りのグラスを作り、タンバリンの代わりに持たせる。
カンパイ、とグラスを合わせ、早く酔わせてしまえとばかり酒を勧める。

向かいの席に座っている林田は、その様子をハラハラしながら、見ていた。
前の店でもかなりの飲酒量だった。イツキは大丈夫だと言うが…、もとより、…酒を飲んで良い年齢ではない。


「……あー…中野井部長。……イツキ君、もう…あんま、…飲ませちゃ駄目ですよ…」
「何言ってるんだ、……大丈夫だよなぁ、イツキ君?」
「………えっと。………はい……。…………あっ…」


イツキがグラスに口を付けるのと同時に、隣の男が、イツキの股間に手をやった。
服の上から指先でコリコリと引っ掻く。


この男は中野井とはタイプが違い、自分がされるよりも、して、相手の反応を見るのが好きなのだった。






posted by 白黒ぼたん at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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