2019年07月12日

騎士道







「………林田さん、………大丈夫ですか…」
「…………あ、ああ。……うん」



息も絶え絶え、ブロック塀に寄りかかる林田に、イツキは声を掛ける。
林田が、無理にはしゃぎ場を盛り上げ、自分を守ってくれたことは、イツキにも解る。
道路の少し先に自動販売機があって、そこで水のペットボトルを買う。
林田に手渡すと、林田はそれを半分ほど飲み、……ほどなく、全部吐き出し、それで少し楽になった様だった。



「……ああ、ごめんごめん。……でも、……平気…。終わって、良かった…」
「林田さん…」
「さてと。俺らも帰ろうか。…タクシー、捕まえられるかな…」


口元を拭いながら、林田が笑い、道路の端に出て手を挙げる。
こんな男気を見せられては、少し、胸が…苦しくなる。
ワイシャツの背中。意外としっかりした肩のライン。捲った袖口。
つい、触れたくなってしまうのは、……イツキもまだ酔いが残っているからだろうか。



もう、誰ともシない。と、誓った決意が
簡単に崩れそうで、困る。



捕まえたタクシーに、二人、乗り込む。
行き先は近場のラブホテル。……ではなく、イツキのアパートだった。
まだお互い、なんとなく理性は、残っているようだ。


「……大丈夫。……家まで、送る。
……俺のヘマのせいで、こんな接待に付き合わせて、これ以上…変なことになったら、俺、申し訳無さ過ぎだよ……」

「………ん」


林田は一応の騎士道は見せるも
それはイツキの決意と同じで、非常に脆いものだった。





posted by 白黒ぼたん at 22:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
林田さんの決意も脆いか…
酔いに任せての…って、なってしまいますか…?
Posted by はるりん at 2019年07月13日 14:58
いやー、もう
酔っ払いはねー…、仕方ないですよねー笑
Posted by ぼたん at 2019年07月14日 22:51
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