2019年07月14日

悪循環







タクシーがイツキのアパートに着いたのは、すでに深夜1時。
先にイツキが降り、その後、林田の家に行くつもり……、なのだが
車が停車しても、イツキは車から降りられない。


それは、林田が、イツキの手を握っていたためだった。



「………林田さん…、……おれ、…降りる…?」
「…………ん」



二人とも、酔いの残った頭。身の内の欲望を素直に晒してしまって良いのかどうか、迷う。
ついうっかりセックスをして、その都度「無かった事」にしているのに、またそれを繰り返すのか。
……無かった事に出来るのなら、もう一度くらい、繰り返しても良いのではないか……。


「……お客さん、どうするんですか?……降りるんですか?」
「……あっ、はいはい。…降ります…」


答えを出す前に、タクシーの運転手に急かされ、林田も一緒に車を降りてしまった。
アパート前の真っ暗な夜道に、二人、手を繋いだまま佇む。

イツキは、好き嫌いはともかく、今日の林田は格好良かったな、と思っていた。
そして何より、

眠くて疲れていたので、早く、部屋に入りたかった。




「……林田さ…ん…」
「イツキくん、俺……」


イツキの言葉を遮って、林田が何かを言おうとする。
繋いでいた手にぎゅっと力を入れ、一度、目を合わせ……、恥ずかしいといった風にすぐに目を逸らせる。
それでも意を決した風にそのままイツキの手を引いて、イツキの部屋に行こうとする。






丁度その時、二人のすぐ真後ろに、もう一台、別のタクシーが滑り込んで来た。






posted by 白黒ぼたん at 23:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
ひえ〜
怖い人来たよ!
Posted by はるりん at 2019年07月15日 18:59
はいー。来ちゃいましたよー
Posted by ぼたん at 2019年07月15日 21:31
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