2019年07月18日

残念賞






一呼吸おいて、やっと皆、少し冷静になる。
林田の言う通り、このまま真夜中の路上で痴話喧嘩を続けていては、通報されてもおかしくはないレベル。
実際、どこかの家の明かりが灯り、カーテンが揺れ、こちらを伺う気配がする。
黒川はふんと鼻息を鳴らし、それ以上は何も言わずに、踵を返しイツキの部屋へと向かう。

イツキも黒川の後を追う、……その前に、林田に詫びを入れる。



「……ごめんなさい、林田さん。本当にごめんなさい…、今日は……」
「…いや、いいよ。…俺は、平気だけど…、………平気?」
「……ん。……大丈夫です」
「…………誰、あれ?」



林田はようやく立ち上がり、殴られた頬などに手をやり、いぶかしげに黒川を見遣る。
黒川はアパートの階段を上りながら、イツキに、早く来いと急かす。



「………あれ、…俺の…、……アレです。……一緒にいる人って言うか…」



どう説明して良いか口籠るイツキ。
どこか気恥ずかしそうな様子に、林田はあれがイツキの「彼氏」なのだと気付く。



「……えっ、……じゃあ、ミツオさんは……」
「…ミツオさん?……え?……ミツオさんとは何の関係も無いですよ…」
「………えっ…」

「…イツキ!」




黒川は部屋の扉の前で、開かないドアノブをカチャカチャとやる。
イツキは、詳しい話はまた今度と、林田に頭を下げ、黒川の元へ向かう。

林田は何が何やらサッパリ解らず…、大混乱の頭のまま



車一台通らない真っ暗闇の道端に、ぽつんと立ち尽くすのだった。





posted by 白黒ぼたん at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/186292962
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
最近のコメント
フェスタ・21 by ぼたん (12/09)
フェスタ・21 by はるりん (12/07)
フェスタ・19 by ぼたん (12/05)
フェスタ・19 by はるりん (12/04)
フェスタ・18 by ぼたん (12/03)
フェスタ・17 by ぼたん (12/03)
フェスタ・18 by はるりん (12/03)
フェスタ・17 by はるりん (12/01)
フェスタ・14 by ぼたん (11/27)
フェスタ・14 by はるりん (11/27)