2019年08月09日

もう一波乱







「……お風呂!?」
「…ああ、日帰り温泉。近くにあっただろう。……行くぞ」



何度目かのセックスと転寝の後、黒川がふいに切り出す。
二日ほどこの部屋に泊まったが、ほぼシャワーしか使えない風呂はどうにもいただけない。
…この近辺をざっと調べた時に、見付けた温浴施設。
今日、明日には向こうに帰る予定なのだが、その前に食事も兼ねて出掛けるのも悪くないだろう。


黒川は布団から起き、シャツに袖を通す。


「…………マサヤ」
「…何だ」


イツキも起き上がり、身支度をする。
勿論、大きな風呂には入りたいし、お腹も空いている。
バッグにバスタオルと着替えを放り込みながら、イツキは…少し憂鬱な表情を見せる。


黒川は、
「風呂」と言えば無条件でイツキが喜ぶと思っていたようで、あまり乗り気でない様子を不思議に思う。



「……生理か」
「違うよっ…、……あのさ、俺…、そこのお風呂、……行ったことがあるんだけど…」
「…うん?……もう何か、揉め事を起こしたのか?」
「……違う…けど……」





近場、とは言え、歩いて行くには遠い距離。
黒川はスマホで手早くタクシーを見付け、手配する。
そして車が到着し、施設に向かう間、実に厭味ったらしくねちっこく



イツキが「湯〜らんど・極楽」で出会った刺青の男の一件を、聞き出すのだった。




posted by 白黒ぼたん at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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