2019年08月10日

挙動不審







日曜日の午前中。
施設は混み合っている程ではないが、家族連れなど、まあ、そこそこ客がいる状態。
けれど黒川は特に気にする様子もなく、脱衣所で服を脱ぎ、タオルを手に浴場へ向かう。
イツキの方が、キョロキョロと辺りを伺い、どこか怪しげだ。

もともと、こういった公衆の場で肌を見せることには抵抗がある。
それに、あの刺青の男が、またいるかも知れない。
そしてさらに……


「……お前の態度の方がよほど不審者だな」
「……だって、……なんか…」
「コソコソしているから余計に目立つんだ。…馬鹿」


黒川はイツキを鼻で笑う。
イツキは黒川の隣りに座り、タオルを濡らしながら、鏡越しに黒川の様子を眺める。


こんな風に、こんな場所で、黒川と風呂に入るなど…、……初めてではないだろうか。
黒川のハダカなど見飽きている筈だが、何故だかどうにも恥ずかしくて…直視できない。

あの腕に、あの胸に、つい数時間前まで抱かれていたのかと思うと
まるで今そうされているように…、他の客の目前でそうされているように、感じる。





「……この時間には、いないだろう」
「…えっ」
「刺青の男。…大抵の風呂場は断られるからな。…会ったのも、早朝なんだろう?その時間帯、限定だったんだろうよ」
「……う…ん」





イツキの挙動不審は、例の男を警戒しての事だろうと黒川は思っていた。
イツキは、ボディーソープを盛大に泡立たせながら、そういうコトにしようと誤魔化した。






posted by 白黒ぼたん at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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