2019年08月14日
優しい声音
露天の小さな湯船に浸かりながら、黒川はイツキの頬に手をやり、顔をまじまじと眺める。
黒川は怒っている風でも不機嫌でもなく、どこか面白がっているという様子。
イツキも黒川を見て、何となく視線を逸らせて、もう一度、確認するように黒川を見る。
離れて暮らしていた黒川が目の前にいることが不思議。まして、一緒に風呂に入っているのだ。
「……マサヤ、今日、…帰っちゃうの?」
「…そうだな。…寂しいか?」
「うん」
思いがけない即答に、黒川も、イツキも驚く。
「……意外と、来れない距離でもない。……また、来てやるよ…」
「うん」
「…玉子焼きも、まだだったな…」
「………ん」
近すぎる場所で一緒に生きていた頃には、聞いた事も無い、甘い言葉と優しい声音。
熱と湯気で、耳が融けそうだ。
さらに身体を合わせ、唇も合わせる。
すぐにそれだけじゃ足りなくなって、困る。
「………マサヤ…?」
イツキは半分のぼせた頭で、黒川のなすがまま。
風呂から上がるように促され、縁に座ると……黒川はその足の付け根の真ん中に顔を埋める。
「……駄目、だよ。……こんなトコで……」
「…でも、お前、……勃ってるぜ……?」
「………だ…め………」
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