2019年08月23日
お食事処・5
男はイツキの向かいに座る。イツキは、驚いて目を丸くする。
……多少、警戒はしていても、人で賑わうこの時間帯に遭うことは無いだろうと思っていた。
イツキが意外そうな顔をしているのに、男も気付く。
「…風呂はな、使える時間が限られるんだが、……コレさえ隠しちまえば、後はな…」
男は館内着の下に着ているシャツを触る。確かに、刺青を見せさえしなければ、後は休憩所で休もうが何をしていても構わないだろう。
実際、この日も男は、誰もいない早朝に風呂を使い、それからしばらく、隣のリクライニングスペースで仮眠を取っていたのだ。
目を覚まし、小腹が空いたと食事処に顔を出したところで、イツキとバッタリ遭遇する。
「……ビールか?……いいねぇ、俺も貰うかな。 ……この間は、途中で終わって残念だったな。……な、兄ちゃん、名前は?」
「……困ります。……俺、今日、連れがいます」
「いいじゃん。一緒に飲もうぜ?……ここから注文かな…?、……兄ちゃん、お替りは?……ん?風呂上りか?……エロい顔、してんなぁ…、ヤって来たのか?」
当たらずとも遠からず。上気した頬、濡れた髪。黒川に弄られた身体。
言われて、ハッとなり、館内着の袷に手をやる姿がまた……、思い通りで、面白い。
男はイツキを見てふふと笑う。そして勝手にテーブルのタッチパネルから、自分のビールを注文する。
「…あっ、本当に、駄目です。……俺、今日……、……ボスと一緒です。俺の…、怖い人です!」
「………へぇ!」
男が面白がって声を上げた所で、丁度、ビールを持った黒川が席に戻って来た。
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怖いよ!
大人しかったりするんですよねー