2019年08月26日
お食事処・7
「………無理…」
商品受け渡しカウンターに行ったイツキは思わず呟く。
餃子に唐揚げ、オニオンサラダにヨダレ鶏。男が頼んだビールに、おつまみセット。
全ては持ちきれないと半分だけを持ち、急いで、席に戻る。
あの二人がどうしているのかと思うと、心配でならない。
けれど、まだ進展はなく、向かい合い睨み合うだけだった。
イツキは持って来た料理をテーブルに置く。
そしてまた小走りで、受け渡しカウンターに戻る。
「………可愛い兄ちゃんだな。…まだ若いだろ?……ありゃ、上玉だよなぁ…」
男はイツキの背中を見ながら、持って来てもらったビールに口を付け、感心したようにつぶやく。
そんな事は解っていると、黒川は、ふうと息をつく。
「あんたには関係ない。勝手に、手、出すなよ」
「いやいやいや。じゃあ、こんな場所に来さすなよ。……あの身体、食ってくれと、言わんばかりだぜ?」
「………まあ、な。無防備過ぎるんだ、あの馬鹿は……」
ぽつ、ぽつと会話を交わした所で、残りの料理を持ったイツキが戻って来る。
少し緊張した様子。小さく震える手で、皿をテーブルに並べる。
「………あの。……おつまみセットのポテト、ソースが選べて…、ケチャップとカレーとからしマヨがあって…、……俺、からしマヨにしちゃったんですけど、大丈夫ですか?」
大真面目な顔でイツキがそんな事を言うものだから、場は、一気に和んでしまった。
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なんだか呑気な雰囲気醸し出してるのですが
これがいっちゃんか…
いっちゃんはもー、馬鹿と紙一重ですからね
そこが良いんですけどー(はぁと)←出なかった!
はるりんさま
こんな空気感じゃ、黒川も気が抜けちゃいますね。まさか、それがいっちゃんの作戦!?