2019年09月06日

世界の正解







『………マサヤ、帰っちゃ、……や』



言われたのは最初の夜だったと思う。
連絡もなく突然、訪れた黒川に、イツキは驚き、喜び、狭いアパートの部屋で逢瀬を遂げる。
それでもいつものように慌ただしく、黒川が帰ってしまうと思ったのだろうか

コトが終わり、余韻の残る重たい身体を摺り寄せ、イツキはそう懇願した。


『………生憎、そう、ヒマでは無いからな…』
『………もうちょっと、……いてよ。………一緒に、……いたい』


イツキの言葉に、ふんと鼻息だけで答え、後は抱き締めて誤魔化した。
そうして結局3日間も、イツキの元にいることになった。




手の平も素肌も唇の上も、馴染み過ぎていて、離れがたい。
まるで、こうしているのが世界の正解だと、誰かに耳元で囁かれている様。











「……ちゃんと予定を決めて、定期的に通われてはいかがですか?」
「通う? 馬鹿か! タクシーで3時間もかかるんだぞ? それとも新幹線の定期でも買うか? どんな遠距離通勤だよ」
「…しかし、ふいに我慢が効かず、会いに行きたくなるのも…困りものでしょう?」



一ノ宮の言葉はどこからどこまでが本気なのか…、むっとした顔で黒川が睨むと、一ノ宮は、ふふふ、と小さく笑う。



「……まあ、それよりも…、早く、根本的な問題を片付けた方が良いでしょう」
「……笠原、な。……月末に、何か、約束があったか……」
「親交を深めたいと…、『フェリーチェ』にお誘いがありましたね……」
「…………そうか」



日本酒のグラスを空けて、黒川は大きく溜息を付いた。





posted by 白黒ぼたん at 23:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
かわいいいっちゃんから離れるなんて、思い切りが大事ですね
離れられませんよ…
次はいつなの
笠原〜!解決に向けて、ちゃんと話し合わないと、いっちゃん帰ってこれませんね…
こじれそうですが
早く解決して黒川の元に戻れますように
Posted by はるりん at 2019年09月07日 16:38
はい。早く解決したいと
黒川も強く思ったようです。

遠距離も楽しそうですけどね〜
Posted by ぼたん at 2019年09月08日 23:49
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