2019年09月09日
一人の部屋
黒川は一人、マンションの部屋に帰る。
イツキがいない生活もすでに2ヶ月。……もう、慣れた。
リビングのソファで転寝をしながら、帰りを待たれる事もないし。
冷蔵庫にラップの掛けられた、総菜の皿が入っていることもない。
掃除や洗濯などは、一人でどうとでも出来る。
乾燥機に、縮んだ綿のシャツを見付けて、怒る事もない。
ベッドのシーツが、朝、出掛けた時のままシワくちゃなのは、まあ仕方がないだろう。
布団の中がひんやり冷たく、温まる気配もないのも、仕方が無い。
風呂上がりのイツキがそのままベッドに入り、枕を濡らすこともない。
足元に、夕べ脱ぎ捨てた下着がそのまま残っていて、苦笑することもない。
真夜中に急に抱き付かれて、眠りを妨げられることもない。
寝不足の朝を迎えることも、どちらがコーヒーを淹れるのか揉めることも、ない。
『マサヤ、もう寝た?
なんか、少し一緒にいたら
逆にまた、…寂しくなっちゃったね。
なんてね。
おやすみ』
届いていたイツキからのメールに黒川は
『そうだな、おやすみ』と、返信をした。
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いっちゃんがいた時は、めんどくさかった事が今となっては懐かしくなっていますね
2人とも〜人肌恋しいです
黒川、文句ばっかり言っていたくせに
それが無くなるとやはり寂しいようで…
随分、人間臭くなったもんです。
クッキーさま
数年ぶり来訪、嬉しいです。ありがとうございます!
昔より若干…いえ、かなり甘めなお話が続いておりますが、また遊びに来て下さいね♪