2019年09月29日

ひとまず終了








用件は済んだと、黒川は残りの酒を飲み干しテーブルに代金を置く。
『……結構ですよ?』と言う笠原に、
『…あんたに奢ってもらう義理はないよ』と言う。


黒川が椅子から立ち上がると、俄かに…周りがざわつく。
事を荒げる気などない。笠原は手の平を広げ、それを制する。


「……いや。……黒川さんにそこまで想われているイツキくんは…、幸せ者ですね。……あ、いや、どうなのかなぁ……」


最後に、まだ笠原が口を開く。
黒川は面倒臭そうに、視線だけをくれる。


「……だって、そうでしょう?……あんなに酷い扱いを受けていた相手に。……イツキくん自身に聞いてみたいなぁ…、…今の状況をどう思っているのか…」
「……無駄だ。……イツキは今、いないぜ…」
「それもあなたの恩情なんでしょう?……いやいや…」




笠原の長広舌を背に、黒川は店を後にする。
本当は扉やら壁を蹴り上げたい程、腹が立っていたのだが、それはとりあえず…今は止めておく。

もっとも、腹が立っていたのは笠原も同じで。
黒川の姿が見えなくなると「……クソ」と悪態を付き、鬱憤ごと、テーブルの上のグラスをなぎ払うのだった。










帰り道。黒川はタクシーの中でケータイを開く。

着信履歴の「イツキ」に指を向け…、……暫く間を空けてから



その近くにあった「一ノ宮」に電話を掛けた。





posted by 白黒ぼたん at 23:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
とりあえず、この場は治ったという感じなのでしょうか…
お互いイライラ
いっちゃんに電話?と、思ったら一ノ宮さんですか!
Posted by はるりん at 2019年09月30日 15:06
本当はいっちゃんに電話したかったんですけど

照れ屋さんなものでw
Posted by ぼたん at 2019年10月02日 21:04
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