2019年10月02日
一応、冗談
「……そう言えばイツキくん、仕事でこちらに来ると言っていませんでしたか?」
「ああ。次の土、日曜日。銀座で石鹸を売るんだとよ」
「……石鹸…」
黒川の説明に一ノ宮は苦笑いを浮かべる。……スマホを開き、「ハーバル」の広報などから、イベントの詳細を調べる。
「……ああ、これですね…、……『オーガニック・フェスタ』……百貨店の6階の特設会場…、…化粧品、…衣料品…、ああ、ワインもある…、いいですね……」
「こんなタイミングだからな…、本当は止めさせたいんだが…。売り場の奥で荷物を運ぶだけだから大丈夫だとか、ナントカ…」
「…まあ、女性しか行かないような店舗ですからね…。あちこち、出歩かなければ問題ないとは思いますが……」
焼き鳥盛り合わせを平らげ、皿をカウンターの上に置く。
シイタケと獅子唐を2本づつ頼み、空のコップには冷や酒を注ぐ。
「……雅也、会いに行っては駄目ですよ?」
「解ってる。都内で接触はナシだ。……笠原が何か仕掛けそうだからな…、……まったく」
「こんな女子力高めのイベントに出向いては、目立ち過ぎます。むしろ変質者です」
確かに、このイベント会場に、眼光鋭い黒川の姿は異質過ぎるだろう。
一応、冗談のように一ノ宮はそう言って、黒川をチラリと見て、笑った。
今日は月曜日。週末まではあと5日。
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一ノ宮さんだけだよ、こんな事言えるの!
東京では、夜、会えるのかな??
イツキも、黒川もー