2019年10月13日
誘惑・おわり
イツキには
無防備に林田を誘惑しているつもりは、さらさら無い。
途中、はっと目を覚まして、自分が林田の肩にもたれ掛かっているのに気づき、慌てて身体を離して照れ笑いなどを浮かべる。
林田も、自分の下心を見抜かれた気がして、照れ笑いを浮かべる。
「………お客さん、サンコーポが先ですか?次の信号、右?」
「……ああっ、はいはい、はい」
代行の運転手に声を掛けられ、林田の理性はギリギリの所で保たれたのだった。
林田に「ありがとう」と「おやすみなさい」を言い、イツキは自分のアパートに帰る。
うっかりまた簡単に、間違いを起こしそうになった事を、軽く反省する。
……つい先日、林田を部屋に連れ込もうとして、黒川に殴られたばかりだと言うのに……
「……まあ、今日は、マサヤ…、いないけどね……」
そう独り言ちて、笑う。
この場にいなくとも…、きっと…、今時分も自分のために何か奮闘してくれているのだと、そう信じることにする。
狭い風呂場でシャワーを浴びて、自分で自分を慰めて
鳴らないケータイを握りしめて、眠った。
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