2019年11月10日
フェスタ・2
『今日からフェスタ。すごい、早起きした』
当日、会場に向かう車の中で、イツキは黒川にメールをした。
最近の連絡はごくごく短い言葉ばかり。
……松田と、……ついうっかりエッチをしてしまい、……後ろめたかったせいもあるのか。
黒川の返事は、イツキよりもさらに短い言葉。
『ああ』とか、『そうか』とか、いつも相槌程度。
「……えっと。ラベンダーのサイズ違い、あります。えっ、小さいのですか? 小さいのは…こっちの…ゆずと、ローズの三本セットになってて……」
イツキが思っていた以上にハーバルの商品は、知名度があり、人気があるようだった。
裏方に回る予定だったイツキも前面に出て、接客の手伝いをする。
お尻ポッケに入れているケータイの、着信を見る暇もない。
「イツキくん、ごめん! 新しい荷物が届いてるみたい。下の搬入口、行ってくれる?」
「……はいっ」
昼近くに小森にそう言われ、イツキは荷物を取りに行く。
追加の商品が入ったタンボールを抱え、急いで階段を昇る。
途中の踊り場で思い出したように、ケータイを確認すると
そこには黒川からの返事が届いていた。
『俺は今から寝る』
「…………あ、そ…」
相変わらず短い黒川の言葉に、イツキは鼻で笑って、忙しい会場へと戻って行った。
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いっちゃん、なんやかんやで、密かに楽しみにしてたんじゃないの??
寝ないで!ww
…いや、そんなフリだけなのかも…?