2019年11月13日
フェスタ・4
「では、まだ明日も残ってるけど…とりあえず、お疲れさまっ」
土曜のイベントは何事もなく終わり、イツキとミカ、そして林田は、最上階のレストランへ向かう。
オーガニックワインの飲み放題が付いた、スペシャルコース。
最初の乾杯だけはビールを貰い、後はお勧めのワインをデカンタで貰う。
林田はもっともらしくグラスに鼻を近づけ、テイスティングの振りをして、みんなで笑う。
結局、イツキは、今日はこちらに残ることにした。
こちら…で、勿論……寝る場所は…、……いくつか心当たりもあるのだが……、社長の奥方の提案に乗ることにした。
奥方が急遽見つけた下町の旅館は、学生が合宿などで使うような素朴な場所だったが、むしろ気楽で良いかも知れない。
社長夫婦は他所で食事を済ませ、後で、宿で合流する話になっていた。
「でも良かったよ、イツキくん、その方が絶対、休めるしさ」
林田はそう言い、グラスにワインのお替りを注ぐ。
「…あーあ。あたしも、そっちで一緒にすれば良かった。なんだか、楽しそう」
ミカはそう言い、運ばれて来たオードブルを口に入れた。
イツキはふふ、と微笑みながら…、……それでも、ここまで来て「自分の部屋」に帰れないのは…寂しいと感じていた。
さらに…心配なのは…
夕方からイツキのケータイが、電池切れになっている事だった。
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