2019年11月18日
フェスタ・8
「………あ、ハイ。……すみません。……こっちの…知り合いの所に泊めて貰うので大丈夫です。……はい。……明日、8時集合ですね、了解です」
結局、イツキは黒川と一緒に、部屋に戻って来てしまった。
無理を言って路上に待たせていたタクシーには、金を払って帰って貰う。
内心、まだ怒られるのではないかと思うイツキは少し、身を強張らせる。
「……まあ、来ちまったものは…、仕方ないだろう…」
黒川は、そんなイツキを見て、軽く鼻で笑った。
宿泊先で待っているだろう社長夫妻に連絡を入れて、ようやくイツキは一息つく。
ソファに座る黒川の隣りに座り、今日の出来事などをざっと説明する。
「……ちょっと、ワイン…飲んで来たんだ。…フェスタの会場の上に…」
「…ああ、一ノ宮が言っていたな。……オーガニックワインか、……ふぅん」
黒川はビールを飲みながら、ほろ酔いのイツキの肩を抱き寄せる。
『今回、都内で、イツキとは接触しない』と
自分で言っていたくせにこの有様かと、苦笑する。
どだい、無理な話なのだ。
引き合う力が強すぎる。
「……来ちゃ、駄目って…言われてたのに。……ごめんなさい」
「…………いや」
「やっぱり、マサヤに会いたかったのかな……、俺」
「……ああ…」
『…俺もだ』
黒川の言葉の続きが、イツキにだけは、聞こえた。
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素直になって下さい〜
早期決着、望みます!