2019年11月20日
フェスタ・9
「………あの、馬鹿…」
早朝。イツキは黒川が眠っている間に部屋を出て行ったようだ。
黒川は傍らの冷たい枕に手を伸ばし、悪態を付く。
ここに来てしまったのは仕方がないにしろ…無防備に一人で出歩くのを許した訳ではない。
まあ、最近は笠原に目立った動きもない。おそらく問題は無いと思うのだが…。
「………ふん」
心配か、それとも呆れてなのか、…寂しいのか。黒川は短く鼻息を鳴らした。
あれだけ激しい行為をして、よく寝坊をしなかったと、イツキは自分で自分を褒めていた。
震えるだけのアラームで目を覚まし、隣の黒川を起こさないように、そっと抜け出し、部屋を後にした。
もう少し、ここにいたかったのだけど。
離れている間、何度か黒川と会う機会もあったが
やはり、本当の、自分たちの部屋で…するのは、……格別だった。
二人の部屋、二人の空間。今まで過ごしてきた、二人の時間。
それがどれほど、当たり前の事で、自分の身に染みついているか、改めて思い知らされる。
「………やっぱり、………帰りたいな……」
イツキは小さく呟いて、少し苦しい胸を抑えて、今日のフェスタへと向かうのだった。
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やっぱり帰りたいよね
色々と問題はありますが、
そろそろ帰してあげて〜
話が長くなるのでw
そうですよねー
そろそろ、帰りたいですよねー