2019年11月22日
フェスタ・11
「お疲れさまっっ」
無事、フェスタも終わり。
会場近くのちょっとした飲食店で、夕食会が行われていた。
ハーバルの社長夫妻、ミカ、イツキ。フェスタに参加していた「お茶の吉田」の従業員。
他、見慣れない4,5名と林田。……そして、名目、世話役の松田。
もっとも松田は、自分が場違いな事を承知しているのだろう。
少し外れた席で、静かに微笑むのみ。イツキは、小さく、ぺこりと頭を下げる。
「いやー、良かったよね!…ぶっちゃけ、こんなにお客さんが来てくれると思わなかったですよ、俺は!…良かったですよ!!」
「………林田さん、もう、飲んでる?」
「飲んでないっす!嬉しいんです、俺は!!…地場産業が盛り上がるって、イイコトですよ!ハーバルさんも、吉田さんも!あと…えーと…「絹塚和装」も!…俺、あのショールが当たるとは夢にも思わなかったです!!」
「はいはいはいはい」
最初からテンションが高めの林田。
フェスタの成功が余程嬉しかったのか、それとも、他に忘れたいことがあるのか。
乾杯から強い酒を煽り、とにかく、場を盛り上げる。
「いやッ、でもハーバルさんは本当に反応が良かったです。デパート側から常設ブースの提案もありましたよ?これを機に、都内進出も……」
「いやいやいや」
林田は、ハーバルの社長に日本酒を注ぎながら、そう言う。
老社長はまんざらでもない様子。隣で、この後車で家まで送り届ける奥方が苦笑いを浮かべる。
イツキもミカも、後は、車で送ってもらうだけ。
若干、気の抜けた様子で、一緒くたに酒を飲む。
「………ね、ねえ、イツキくん?」
「ん?…フェスタ、人が一杯でしたね、俺、こんなに混むと思わなかったです」
「………じゃなくてさー、……ふふ。……やっぱり、都内は、イイよねー…」
ミカが笑う。……イツキもつられて笑う。
ミカは、林田との一夜をイツキに話したくてうずうずしているのだが…なかなかその機会は訪れない。
まあ、イツキは
グループの外で静かに、一人酒を飲む松田が気になって、…ミカの話しどころではないのだけれど。
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