2019年11月23日
フェスタ・12
「へー…、ショールって…絹なんですかー?……わー、さらさら…。これ、欲しいですーっっ」
今更、地元から一緒に出品していた商品をミカが褒めちぎったあたり。
すでに場はそこそこ酔いつぶれ、良い感じに出来上がっていた。
車で送る係の奥方などは、そろそろお開きにならないかしらと、心配顔。
「……ね、ね、イツキくんは、昨日、どこに泊まったの?」
「………えーと……」
泥酔したミカが尋ねる。イツキは苦笑いを浮かべる。林田は、聞こえているけど聞こえないふりを決め込む。
離れた席に座る松田が、ニヤニヤと笑う。
笑っているだけなら、普通の、どこかの俳優にでも似た良い男だと…イツキは思う。
イツキは松田を見て、ニコリと笑う、松田も、笑う。
林田は、その二人の柔らかな笑みを見て、少し、不思議な顔をする。
イツキは松田はいつの間に、こんなに親し気になったのだろうか。
しばらくすると松田がグラスを持って、イツキの隣りに席を移して来た。
「……フェスタ、お疲れ、イツキくん。無事に終わって何より。俺の出番は無かったなぁ…」
「そうですね。その方が、良いのでしょ?」
「ふふ。……で?……イツキくんは夕べは……黒川さんとお泊りだったのかな?」
そう尋ねるとイツキは肩をすぼめ、照れ臭そうに嬉しそうに微笑む。
つい、2,3日前に自分とセックスした少年の、初心な姿に、松田は少し驚いた。
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