2019年11月25日

フェスタ・13








「自分の部屋なんですけど…、今はまだ、…本当は帰っちゃ駄目なんですけど…」


飲みながら、イツキはぽつりとつぶやく。
良くも悪くも、一度身体を重ねた相手には、どうにも気が緩んでしまう。
まあ、すでに松田は、イツキが訳アリで地方に一人で暮らしていると知っているのだし。
黒川と敵対している相手でもない。


「……ふふ。俺とヤったのは、バレなかった?」


意地悪く尋ねる松田に、イツキはむっとして、横目で睨む。


「バレてないです。でも、別にバレても大丈夫です。…まあ、バレないならその方がいいけど……」


松田に弱みを握られたくないのか。そんな言い回しで強がりを言うイツキが面白くて、松田はくすくすと笑う。
イツキはなぜ松田が笑うのかが解らなくて、さらにむっとした顔を見せていた。








林田は、イツキと松田が楽しそうに話をしているのを、離れた席から眺めていた。
隣に座るミカがそれに気づき、何を見ているのかと尋ねる。


「……あ、いや。イツキくん…、松田さんと…前から知り合いだったのかな……、すごい、仲良さそう…」
「えー?接点無いんじゃないのー?…たまたま、気が合うとか。だってイツキくんって……」


ミカは少し下世話な想像をしたようで、それを誤魔化すように、酒のグラスに口を付けた。






posted by 白黒ぼたん at 20:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
松田さんといっちゃん、いい雰囲気なんですけど…
なんだか合うかも…
Posted by はるりん at 2019年11月26日 07:38
ね。
いいお友達になれそうです♪
Posted by ぼたん at 2019年11月26日 21:01
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