2019年11月27日
フェスタ・15
様子を伺っていた松田は怪訝な表情を浮かべる。
イツキとの話を思い出す。
こちらでトラブルを抱えている為、身を隠している事。
本当は帰ってはいけない部屋に、昨夜、こっそり帰ってしまった事。
黒川とはその時に会っている。それが、今日また、こんな場所に現れるものだろうか。
それは違うと、経験で、解る。
「…ああ。イツキくん、そんな事、言ってたかな…。いや、実は俺、ちょっと知り合いでね、その…イツキくんの………と。
…後は俺が面倒見ますよ。まあ、もともと、こっちの子だし。大丈夫でしょ。
久しぶりの都内で、タカが外れたかな…ハハ」
冗談めかして松田がそう言うと、社長夫妻は申し訳ないという風に頭を下げる。
ミカは、まだ、戸惑っている様子。
林田は「…じゃあ、俺も残ります」と食い下がるも、松田にジロリと睨まれる。
「……いいから。素人は帰れ」
邪魔者を追い払うようにそう言う松田は、林田が初めて見る「男」の顔だった。
「………さてと。………どうしたものかね…」
あたりに人がいなくなってから、松田は一つ、溜息をつく。
別に松田が面倒を見る義理はないのだけど、放っておくほど、知らぬ仲でもない。
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