2019年11月29日

フェスタ・16







松田は店の外に出る。
銀座の大通り。人も車も多く、多少の騒ぎなど簡単に掻き消してしまいそう。
一応、イツキに電話をしてみるのだが、やはり、応答は無く。
仕方なく、もう一つの連絡先に、電話を掛ける。


交換した連絡先が、こんな事で役に立つとは、お互い思わなかっただろう。







『…………はい?』


見慣れない番号からの着信に警戒してか、不愛想な声。それでも繋がるだけ良い。

「…ああ、黒川さん?……俺、俺。……松田…」
『……誰だ?』
「…ええっ、酷いなぁ。一緒に飲んだでしょう、風呂屋で。…イツキくんと一緒に」

名前を告げてもしばらくピンと来なかったようだ。
しばらく間をおいて、やっと思い出したと言う風に、「……ああ」と言う。



『…何か、用か?』
「いや、今さ、イツキくんと一緒に銀座にいたんだけど…」
『………ハァ?、どういう事だよ』
「いやいや、オーガニックフェスタの、…俺、世話役でね。……ハハ、地域密着の優良ヤクザなもんで…、まあ、それで、…ちょっと顔、出してて…」


ざっと状況を説明する。
黒川は大人しくそれを聞いているようだ。
ふんと、呆れたような鼻息。カチカチと、ライターを回す音。辺りには、他に誰もいないのだろうか。


『……それで、何だよ?……イツキは貸さないぞ?』


少なくとも今、黒川の隣りにイツキはいないらしい。





「……いや、さ。イツキくん。どっかに消えちゃったんだよね…」






posted by 白黒ぼたん at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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