2019年12月10日
フェスタ・23
「………松田さん。……あんたも大概、物好きだな……」
小一時間もしない頃。
松田は、黒川の事務所を訪れていた。
イツキのケータイを回収し、再度、黒川に連絡を入れ
その内、受け取りに行くと言う黒川に、いいからいいから…と食い下がり
半ば強引に、事務所に押し掛けたのだ。
もっとも、事務所の場所を伝えた黒川にも、隙があった。
……やはり、いつもと違う状況。イツキがいないことで、多少、動揺しているのだろうか。
「ハハ。こんな機会でもなきゃ、黒川組の本拠地には上がり込めないもんなぁ」
「……ウチは、『組』じゃないぜ。……ただの、……何でも屋だ…」
「…へー…」
松田は興味津々、部屋の中をぐるりと見回す。
確かに、組事務所にしては狭すぎる部屋。黒川以外の人間もいない。
黒川が、そういった看板を掲げていないのは知っていたが、想像以上の…普通の佇まいに、少し驚く。
「……こんな揉め事に首を突っ込んで、何の得があるんだよ?」
呆れたように黒川が言う。松田は鼻で笑い、持って来たイツキのケータイを黒川に手渡す。
「…まー、何かのご縁ってヤツ?…知らない仲でもないし、このままじゃ、気になるしね」
「……あんた、………もう、イツキと…、ヤったのか?」
「……んー?」
松田が微妙な返事をしたところで、事務所に、一ノ宮が入って来た。
外出中だった一ノ宮は黒川から連絡を受け、そのままあちこちで情報を集め、戻って来たようだ。
見慣れぬ松田をみて、少し怪訝な表情を浮かべるも、とりあえず一礼する。
そして、「………やはり、笠原氏ですね」と呟き、深いため息をついた。
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本気でいっちゃんのこと心配してますよね
黒川、一の宮さん以外に友達出来た!
黒川、他に友達、いないんですよー笑