2019年12月12日

フェスタ・25







イツキを乗せた車は、どこかへ停車する。
緊張し身を固くするイツキを横目に、笠原はくすくすと笑う。
窓が開けられ、景色が見える。海の近く、倉庫などが立ち並ぶ殺風景な場所。
運転席にいた男だろうか、開いた窓から笠原に、ペットボトルの水を差しだす。

笠原が、その水を飲む。飲みながら、イツキを見る。
…イツキだって、喉が渇いていると、知っているのだが…
意地悪く笑い、「…欲しい?」と聞くと、イツキは反射的に首を横に振る。
口の中はカラカラで、舌が嫌な感じに張り付く。




「…イツキくんはさ、どうして黒川と一緒にいるの?…もう、借金、終わったんでしょ?」
「……いたいから、…いるんです。別に、…理由なんて…ないです」
「へぇ。相思相愛ってヤツだ。ふぅん…、…あんなに、酷いコトされたのにね」


煽る様に、笠原が言う。
また何だかんだと難癖を付け、たぶらかして来る気だと、イツキは身構える。
………でも、……喉が渇いた。




「中学生の頃から身体、売って…、毎晩毎晩、見知らぬ男にハズカシイ事、されちゃってたんでしょ?
何人の男と寝たの? 数えきれないか。
……ああ、親御さんにもバレちゃったんだよねぇ…、ご両親、泣いてたでしょ? 一番、知られたくないよねぇ…。

可哀想に。イツキくんのビデオも見たよ?…スゴイの。あれ、結構、流出しちゃったよね…、知ってた? マニアの間で、高値が付いていてさ…。ああいうのって、一生、消えないんだよね。

あんな…大股開きで…モノ、突っ込まれて…。それで、イクのも…すごいけどね、ふふ。


全部、黒川がやらせたんでしょ?…酷い男だね」




笠原の言葉は概ね真実だったが、イツキは「はい」も「いいえ」も言わず、とりあえず視線を窓の外などにやる。
……あまり、真に受けて話を聞くと、……いろいろ、思い出してしまう。


真っ黒い海の向こうに、貨物船だろうか、ぽつんと小さな明かりが見えた。





posted by 白黒ぼたん at 23:29| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
ネチネチと嫌な男、笠原…
いっちゃん、相手のペースに乗っちゃダメよ
Posted by はるりん at 2019年12月13日 07:15
本当に。
こんなに嫌な男だったとは、驚きです!笑
Posted by ぼたん at 2019年12月13日 23:25
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/186912756
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
最近のコメント
イツキのおでかけ・1 by ぼたん (03/28)
イツキのおでかけ・1 by はるりん (03/28)
避難 by ぼたん (03/27)
フリ by ぼたん (03/27)
避難 by はるりん (03/27)
フリ by ふふ (03/25)
受難 by ぼたん (03/23)
受難 by はるりん (03/23)
受難 by ふふ (03/23)
チャージ中 by ぼたん (03/22)