2019年12月16日
フェスタ・28
「…解ってねぇな、イツキ。…出方一つで、黒川がパクられるんだぜ?…もう少し、口の利き方に気を……」
「好きに…すれば…いい……」
首元を締め上げられ息も絶え絶えのイツキは、それでも気丈に笠原を睨む。
「……どうしたって、笠原さんが…落ちるだけ…だよ。同じ仕事の人…売って……、そこまでして、俺を…、他人のオモチャを横取りしたいって…ことでしょ?
笠原さんは、…その程度の男だったって、…みんなが思うだけ…だ…よ…」
イツキの言葉を黙って聞いていた笠原は、ただただ眼光険しく、そのまま、イツキを絞め殺してしまいそうな様子。
実際、首に掛けられた手に、少し、力が入る。
「………は。……よく喋る、オモチャだ…」
しばらくして、その手は解かる。笠原は自嘲気味に笑い、イツキと少し距離を取り、元の窓側に座り直す。
窓ガラスをコツコツと叩くと、車の外で待機していた男が、運転席に戻って来る。
「…出せ。……例の場所だ」と、笠原が男に告げると、男はエンジンを掛け、車を発進させる。
窓は、また、黒いフィルムで覆われ、あたりの景色は見えなくなってしまう。
「…まあね。そこまでオオゴトにする気はないよ。大人しく、イツキくんが付いて来てくれればいいよ。…お願いすれば、貸してくれるんだったね。
俺と、組の若い衆とで…楽しませてもらうよ。ちょっと痛いかもしれないけど。
……いい薬もある。全部ブッ飛んで、気持ち良くなるよ。……もう、戻れなくなっちゃうけど……、ハハハ」
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