2019年12月20日
フェスタ・32
黒川と松田は物陰にて待機中。
まるで張り込み中の刑事の様。
「……こっちに戻った途端にユーカイとか…、すごいな、イツキくん。売れっ子かよ。…黒川さんも大変だな。…あんな若くてカワイイ子、どうやって見つけたんだよ」
する事もないので雑談中。もっとも松田ばかりが喋り、黒川は鬱陶しそうに視線をくれる。
応える義理はないのだけど、ここまで付き合わせているのも事実だし、最低限の言葉は交わす。
松田は、少し変わった男だった。
人懐っこいのと、馴れ馴れしいの、丁度良いさじ加減で…、傍に居てもそう、邪魔な感じもしないのだ。
「…親の借金絡みで…まあ、…よくある話だ」
「手籠めにして、商売させて、後は美味しく頂きましたってヤツか、いいな、理想だな」
軽い口調は、若干…馬鹿にされている感もあり…、黒川はチラリと松田を睨む。
松田は、屈託のない様子で笑い、それから少し……真顔になる。
「でも、まー、心配だよなぁ…。コレを警戒して…田舎に引っ込めてた訳だろ? あんたが手を出せないような、そんなにヤバイ相手なのかい?」
「…親戚筋の…、組の…、若造でな。正面切っての喧嘩になると、少々、面倒な事になる…」
「……もう、十分、面倒だと思うけどな。………あ」
話の途中で松田が、あちらを指さす。
「フェリーチェ」の前に、一台の黒塗りの車が滑り込んで来た。
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