2019年12月26日

フェスタ・37







「………松田さん?……どうして?」


どうやら笠原が追ってくる事もなく、黒川にしがみついていたイツキも身体を離し、安堵と照れた様子で笑顔を浮かべ……しばらくして

助手席に座っている男が、松田だと気付く。
何故二人が一緒に行動しているのかと、松田と黒川の顔を交互に眺める。



「……今回は、…礼を言っておく。……早いのは…手、だけじゃなかったな…。…借りが出来た…」

珍しく素直に、黒川が礼を言う。
イツキも、まだ事の次第は解らなかったが…、それでも直前まで傍にいた松田が動いてくれたのだろうと…、察する。


「……ありがとうございます。……松田さん…」
「イヤイヤイヤ。まー、成り行きでね。…ふふ、意外に面白かったよ」



別に大したコトではないと、松田は軽く笑う。詳しい話は、また後日。



「じゃあね、イツキくん、またね。……黒川さん、今度、一杯行きましょうよ」
「…ああ、そうだな…」



そのまま地元に帰る松田をタクシーに残し、黒川とイツキは先に、新宿で車を降りた。




今朝、イツキがここを出てから、丸一日も経っていない。
ようやく、二人の部屋に戻り、玄関の鍵をカタンと落とす。

その音と一緒に、イツキはへなへなと腰を落とす。
すでに限界。四肢に力が入らないようで、うずくまり、おまけに目からは涙が零れた。







posted by 白黒ぼたん at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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