2019年12月28日

フェスタ・39







「……意外とそうかも知れませんね。…脅すだけで、手を出すつもりは無かったのかも…」



翌日昼過ぎ事務所で。
昨日の報告を受けた一ノ宮は、イツキと同じく、そんな事を言う。
黒川は不愛想に一ノ宮をみやり、寝不足のようで、小さな欠伸を噛み殺す。



「二時間近く車で連れ回し、足の着きやすい自分の店に向かうのでは効率が悪い。
乱暴するのが目的なら、もっとやりようがあったでしょう」
「…じゃあ、他に何の目的があったんだよ?」
「……さあ。……とにかく膠着状態を打破するキッカケを作りたかった…とか。…そうなると…、手を挙げたのは少々まずかったですかね…」


今度は一ノ宮が黒川を見る。
笠原に、手を出したのは、少々どころか大問題だったのだが…、それよりも黒川がそれだけ熱くなったこと自体が、一ノ宮には面白かった。

天邪鬼で不誠実でひねくれ者で、恋人の危機にも知らぬ存ぜぬでは、あまりも酷い。


「…まあ、幸い、まだ問題にはなっていないようですが…、念のため嶋本組に使いを出しておきますよ…」
「………ふん」




黒川は鼻を鳴らす。



結局のところ、
この件はこの後、何事も起こらずに終わった。
笠原の異様なまでのイツキへの執着も、すっと波が引くように、収まったのだった。


どうしたって、手に入らない。
本人たちが思う以上に、二人の絆…、束縛と言った方が近いが…、は強いものらしい。
これ以上揉めても得るものは少ないとようやく気付いたか、ただただ、面倒臭くなったのか。






「……そう言えば…、イツキくんはどうしたんですか?」
「まだ部屋で寝てる。……夜には、向こうに帰す」





posted by 白黒ぼたん at 21:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
解決しそうだから、また元に戻れるかと思っていたのに…
帰されてしまうのですか
Posted by はるりん at 2019年12月29日 01:26
とりあえず帰されます。
でも、多分、落ち着きそうですよ♪
Posted by ぼたん at 2020年01月03日 20:43
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